家賃の値上げ、どう進める?
賃貸更新時の交渉と
空室時の再募集
「近所の募集家賃が上がった」だけでは、交渉の材料は足りません。成約事例と、継続・入れ替えの収入を並べます。

空室の募集と、入居中の交渉を分ける。
今の契約を確認
賃料改定条項・増額しない特約・これまでの改定履歴を整理。管理会社を通じて協議の準備を。
次の募集条件を検討
賃料だけでなく、共益費・フリーレント・募集期間まで含めて比較します。
普通借家の住居を想定。定期借家・サブリースは契約条件を別途確認してください。更新の時期だけで賃料が自動的に上がるわけではありません。[1]
「同じ駅」より、
「同じ条件で決まった部屋」。
| 集めるもの | 確認する点 |
|---|---|
| 近隣・同じ建物の成約事例 | いつ、いくらで決まったか |
| 面積・築年・階数・設備 | 自室との差を説明できるか |
| 募集条件の内訳 | 共益費・無料期間をそろえたか |
| 現在の契約と改定履歴 | いつから同じ家賃なのか |
高い募集事例を集めるより、条件が近い成約事例を優先します。掲載中の金額しか取れない場合は「募集」と明記。空室募集の相場は参考資料であり、そのまま更新家賃になるとは限りません。
月7,000円高い再募集でも24か月収入は減る例

試算例:現状家賃9万円。再募集は家賃9.7万円、空室1か月、広告・原状回復等9万円と仮定します。
| 24か月の選択 | 家賃収入−追加費用 |
|---|---|
| 現状で継続 | 216万円 |
| 9.3万円で増額合意 | 223.2万円 |
| 退去後9.7万円で再募集 | 214.1万円 |
この仮定では再募集は現状継続より1.9万円少なくなります。上げ幅と入れ替え費用を一緒に見ます。
月7,000円高く貸せても、
2年間の収入が増えるとは限らない。
| 現状 | 9万円 × 24か月 |
| 増額に合意 | 9.3万円 × 24か月 |
| 退去・再募集 | 9.7万円 × 23か月 − 9万円 |
比較用の仮定:同じ24か月で比較。再募集は無収入1か月、広告料・原状回復等のオーナー追加負担を合計9万円と仮置き。共益費収入・管理委託料・税金・ローン等は含まない部分比較で、利益や手残りの総額ではありません。退去の発生や増額の成立を予測するものではありません。
この例では、再募集の収入は現状継続より1.9万円少なくなります。実際の空室期間と見積額に置き換えてから、提案額を検討します。
先に材料。次に提案。合意したら記録。
契約書・改定履歴・成約事例
理由・金額・希望する開始月
賃料・適用月・支払い方法
契約上の連絡時期を確認し、管理会社と準備日を決めます。交渉がまとまらない場合の賃料増額請求や対応は、弁護士等に確認してください。
国交省の標準契約書は、負担の増減・経済事情・近隣同種の賃料等を踏まえた協議による改定を示しています。本記事は任意の協議の準備であり、法的な請求の可否・増額幅を判定するものではありません。[1]
管理会社には、この4点を。
- 条件が近い「成約事例」を、時期と内訳付きで出せますか?
- 比較している金額は、共益費込みですか? 無料期間はありますか?
- 退去になった場合、募集期間と追加費用はいくらを見込みますか?
- 契約条項を踏まえ、いつ・どの条件で提案し、どう合意を残しますか?
増額の根拠と、入れ替えの収支。
この2枚を用意する。
交渉前に必要なのは、強気な募集価格ではなく、条件のそろった比較資料。家賃が上がった後の「持つ・売る」は、別の計算で判断します。
