空室3か月なら、家賃を下げるべき?

3か月空いたという理由だけで値下げする必要はありません。ただし、同じ条件で待ち続ける場合の減収も計算に入れます。 問い合わせがないのか、内見後に断られるのかで、見直す項目は変わります。

まず下の比較表で「いくら下げるか」と「あと何か月家賃が入らないか」を比べます。家賃の候補が決まったら、その家賃で保有収支と売却手残りを試算する。無料・登録不要の手入力で比較できます。入居日や売却価格を予測する機能ではありません。

募集の確認から保有判断まで
  1. 募集のどこで止まるか掲載・問い合わせ・内見・申込みの件数と理由を確認。
  2. 同じ期間の収入を比べる値下げ後の家賃と、待つ期間の家賃減収を比較。
  3. 費用と残債を加える募集費や保有中の支出を入れ、資金余力と売却手残りを確認。

空室期間の平均から、個別物件の入居時期を確定することはできません。

値下げ前に管理会社へ確認する5項目

以下は募集を点検するための質問例です。問い合わせが少ない原因を家賃だけに決めつけず、事実と担当者の見立てを分けて回答してもらいます。

確認項目聞く内容見直す候補
掲載どの媒体・仲介会社に、いつから掲載しているか掲載漏れ、写真、間取り、物件情報の誤り
問い合わせ直近2〜4週間の件数と質問内容は何か家賃・管理費を合わせた総額、入居条件
内見件数と内見後に断られた理由は何か室内状態、清掃、設備、写真との違い
申込み申込み後の辞退・審査の状況はどうか入居可能日、初期費用、契約条件
競合同じ駅距離・広さ・築年の物件と何が違うか募集家賃だけでなく、成約実績と募集期間

「周辺ではこの家賃」と言われたら、募集価格なのか実際の成約家賃なのかを確認します。比較物件の条件が違えば、安く見えても代替候補にならない場合があります。

日管協短観住宅・土地統計調査は市場の背景を調べる資料です。本記事の計算例に使う入居時期や家賃を保証する資料ではありません。指標の違いは東京の空室率と1室の空室日数の読み方で整理しています。

5,000円下げる場合と、あと1〜3か月待つ場合

比較開始は今日、期間は24か月とします。現行募集家賃10万円、値下げ後9万5,000円で、共益費は含めません。値下げ案では今日から家賃が発生し、現行家賃案では1〜3か月後から発生すると仮定します。入居後は比較期間の終わりまで家賃が入り、再退去・滞納・途中改定はない条件です。税金、運営費、募集費、割引現在価値は含まない家賃収入だけの例です。

今日からの案家賃が発生する月数家賃収入の計算24か月の収入
5,000円下げて今日から賃料発生24か月9.5万円×24228万円
現行家賃であと1か月待つ23か月10万円×23230万円
現行家賃であと2か月待つ22か月10万円×22220万円
現行家賃であと3か月待つ21か月10万円×21210万円
今日から24か月間の家賃収入(仮定例)
5,000円値下げ・待機なし228万円
現行家賃・あと1か月空室230万円
現行家賃・あと2か月空室220万円
現行家賃・あと3か月空室210万円

編集部計算:家賃×賃料発生月数。期間24か月、現行10万円/値下げ後9.5万円。税・運営費・募集費・時間価値は未反映。成約時期の予測ではありません。

この条件では、あと1か月で現行家賃の賃料が発生する案が2万円多く、あと2か月かかる案は値下げ案より8万円少なくなります。ただし「値下げすれば今日決まる」という意味ではありません。 値下げ後も1か月空くなら9.5万円×23か月=218.5万円となり、現行家賃であと2か月待つ220万円を下回ります。

すでに空いた3か月分の減収は実績と資金余力へ記録します。今日からの選択肢に共通する過去の減収を、片方だけへ加えて比較しないでください。

家賃値下げの損益分岐を自分の数字で計算

比較期間をNか月、現行家賃をR円、値下げ額をd円、値下げ案の家賃発生までをvか月、現行家賃案をmか月とします。Nは正、各待機期間は0〜Nの範囲、Rはdより大きい条件です。

  • 値下げ案の収入=(R-d)×(N-v)
  • 現行家賃案の収入=R×(N-m)
  • 収入が同じになる待機期間m=N-(R-d)×(N-v)÷R

先ほどの値下げ案が待機なしなら、24-95,000×24÷100,000=1.2か月です。現行家賃でこれより長く待つと、仮定上の24か月収入は値下げ案より少なくなります。これは算術上の境界であり、「1.2か月以内に入居が決まる」という予測でも、必ず値下げすべき期限でもありません。

比較期間を長くすると値下げの影響が積み重なります。売却予定が近い場合や短期入居が想定される場合は、その期間でも計算し直します。実際の日割り計算は契約条件に従います。

広告料・フリーレント・固定費をどう扱う?

家賃収入だけで決めず、両案で異なる費用を加えます。

項目比較への入れ方
フリーレント賃料が発生しない月数に含める。含めた分を別の費用として重ねて引かない
募集・広告費依頼内容・金額・負担者を確認し、それぞれの案で発生する額を引く
原状回復・設備交換すでに支払った額と、これから追加する額を分ける
管理費・修繕積立金・ローン返済保有中の資金繰りには含める。両案で同額なら差額比較では相殺される
賃貸管理料家賃連動か固定額か、空室中にも発生するかを契約で確認する
所得税・住民税税引前の現金収支と別に確認。家賃の減収額をそのまま税金の減少額にしない

税務上の不動産所得は総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。現金の持ち出しとは一致しないため、税引前の比較表を税引後利益とは呼びません。国税庁 No.1370

空室対策後の家賃で保有・売却を比較する

  1. 募集の原因を確認する:掲載・内見・申込みと、断られた理由を管理会社と整理する。
  2. 家賃と待機期間の組合せを置く:値下げ後も空室が続く案を含める。
  3. 資金余力を確認する:家賃が入らない間の返済・管理費・修繕積立金等を補えるか確認する。
  4. 保有継続と売却を比べる:家賃候補を売る・持つシミュレーターへ手入力し、残債・費用を含めて条件を変える。

家賃を変えた結果を別の入力へ自動で引き継ぐ機能は、この比較表にはありません。ツール内の空室条件は長期保有の仮定として設定し、本記事の募集待機月数と同じ定義かを確認してください。売却価格も家賃変更から自動推定せず、査定などで別に確認します。

持ち出しが続く場合は月1万円・2万円・3万円の年間負担、売却を検討する場合は残債がある物件の手残り計算へ進んでください。

よくある質問

ワンルームが3か月空室なら、家賃を下げるべきですか?

空室期間だけでは決められません。掲載状況、問い合わせ、内見、申込み、断られた理由を確認し、家賃以外の原因も切り分けます。今日から同じ期間の収入・追加費用で比較します。

家賃10万円を5,000円下げると、24か月でいくら減りますか?

両方とも今日から24か月家賃が発生するなら、5,000円×24か月=12万円です。現行家賃で待つ場合は、その間の家賃減収も比較に入れます。税金や費用の差は別計算です。

すでに空いた3か月分の家賃も、値下げ判断の式に入れますか?

これまでの運用実績と資金余力には含めます。ただし、今日からの両案に共通する過去の減収は、差額計算の際に片方だけへ加えません。

この計算で入居が決まる時期は予測できますか?

予測できません。家賃発生までの期間を変えた条件比較です。値下げしても空室が続く場合を含め、管理会社の募集実績と物件条件で前提を見直します。

次にすること

募集条件を見直した後の家賃で、保有収支を比べる

家賃候補を手入力し、空室・運営費・残債を含めて比較します。入居時期や売却価格は予測しません。

保有中・売却を考えている方優先

今売る手残りと、保有を続ける場合を比べる

売却価格の幅、残債、家賃・費用を入力し、今・5年後・10年後を比較します。

売る・持つを比較する

登録不要で試算できます。グラフは税引前総手残りの比較です。将来の売却価格・家賃等は入力した仮定に基づきます。