2つの数字で概算

今売る場合の税引前手残り

売却価格と現在のローン残債を入力すると、売却費用を差し引いた決済時の概算を表示します。

売却費用は初期値「売却価格の3.5%+20万円」で計算します。

売却費用の仮定を調整

初期値は売却価格の3.5%と20万円です。仲介手数料、登記、ローン一括返済等の実際の見積りに置き換えてください。

決済時の税引前手残り価格と残債を入力

詳細計算には売却価格・残債・売却費用を引き継ぎます。家賃・運営費・金利・残期間はサンプル値のため、移動後に必ず変更してください。

入力値はURLやアクセス解析へ含めず、このタブだけで詳細計算へ引き継ぎます。

売却手残りはどう計算する?残債がある場合の手順

売却手残りの基本は「売却価格-ローンの一括返済額-売却に伴う支出-売却に伴う税金」です。 査定価格そのものは利益ではありません。税額が未確認なら、まず税引前を計算し、税引後の金額と区別します。

売却価格と残債を入力して手残りを試算する。価格はご自身の査定額などを使います。ツールが売れる価格や税区分を自動で確定するわけではありません。

計算する順番入れる数字確認する資料
1. 売却価格成約見込みを複数の価格で置く査定書・買取提示書・成約事例
2. 一括返済額を引く売却予定日に必要な返済額金融機関の返済見積り・返済予定表
3. 支出を引く仲介・登記・一括返済手数料など見積書。返済額に含む手数料は重ねて引かない
4. 税金を別計算する取得費・減価償却・譲渡費用等に基づく税額購入契約書・確定申告書・費用明細
5. 精算と入出金日を確認賃料・税の精算、敷金等の引継ぎ決済明細・賃貸借契約書

手残りがマイナスになる例

売却価格2,500万円、一括返済額2,480万円、その他の売却支出100万円なら、税金・その他精算を反映する前の手残りは2,500-2,480-100=▲80万円です。これは仮定例で、費用の相場ではありません。追加資金の準備と抵当権抹消の条件を、契約前に金融機関へ確認します。

この▲80万円は「譲渡損失80万円」という意味ではありません。課税の計算では残債を取得費の代わりに引かず、購入時の取得費や建物の減価償却などを確認します。国税庁の譲渡所得の計算方法に基づき、現金の不足と税金を別に扱います(当該出典確認:2026年9月10日)。

「売却費用」の現金支出がすべて税務上の「譲渡費用」になるわけではありません。 また、後日納付する税金もあるため、決済日に必要な資金と税金を含めた最終手残りを分けます。取得時の自己資金や保有中の赤字も含む「投資全体の利益」は、さらに別の集計です。

先に結論

査定額ではなく、売却後に残るお金で比較しましょう。

売却代金から残債・費用・税金を引き、保有を続けた場合の収支とも比べます。

売却前にそろえる3つの数字
  1. 売れる価格の根拠査定額と成約価格を区別し、近隣事例や販売条件を確認。
  2. 売るために払うお金一括返済額と、仲介・登記などの費用を確認。
  3. 売却後の手残り税額を別に計算し、今売る場合と保有継続を比較。

売却時の現金収支と、購入から売却までの投資利益は別です。

気をつけたいこと10選

No.確認ポイント見落としやすい点
1査定額と成約価格を混同しない査定根拠、近隣の成約事例、想定買主、販売期間を確認
2売却価格だけで利益を判断しない残債・売却費用・税金を差し引いた手残りで比較
3ローン残債を先に確認する一括返済額、担保抹消、違約金、手続時期を確認
4売却費用を低く見積もらない仲介手数料、印紙代、登記関連費用などを項目別に出す
5税務上の利益と現金収支を分ける譲渡所得と口座に残る金額を別の表で管理
6取得費の資料を探さずに進めない購入契約書、土地・建物内訳、購入時諸費用を確認
7所有期間の判定日を確認する売却年1月1日時点の所有期間で長期・短期を判定
8売却を急かす提案を鵜呑みにしない期限の理由と根拠を聞き、書面で比較
9仲介と買取を同じ数字で比べない価格、期間、契約条件、費用、引渡し条件を揃える
10今売る・持ち続けるを試算する空室、賃料下落、修繕、金利、価格下落を並べる
売却価格と売却後の手残りの関係

売却前チェックリスト

確認チェック項目
□査定額の根拠と近隣成約事例を確認した
□ローン残債と一括返済額を確認した
□担保抹消の条件と時期を確認した
□売却費用を項目別に見積もった
□取得費・減価償却の資料を集めた
□長期・短期の判定を確認した
□税務上の譲渡所得を試算した
□売却後の現金手残りを試算した
□今売る・保有継続の比較をした
□契約条件・解除条件・引渡し条件を読んだ

投資用マンションの売り時・売るタイミングは?

「買った価格より高く売れるか」だけでなく、売却後の手取りと今後の持ち出しで比べます。 相場が高くても、残債や費用が多ければ現金はあまり残りません。

  1. 金融機関に、売却予定日の一括返済額と手数料を確認する。
  2. 仲介・買取それぞれの価格と費用、決済予定日をそろえる。
  3. 今売る場合と、家賃・金利・修繕費を反映して数年持つ場合を比較する。

残債があっても売却を検討できます。ただし、通常の売却では決済時の返済と抵当権抹消の段取りが必要です。代金で足りなければ、追加資金や対応方法を金融機関へ事前に相談します。

今売る・持ち続けるを試算する/仲介と買取の違いを見る

再開発の完成前と完成後、どちらで売る?

完成予定だけでは、売却時期を決められません。 再開発の工程は、保有期間を考える材料の一つです。完成まで待つ場合も、本記事の「今売る・数年持つ」の比較に、待つ間の収支と将来の売却手残りを入れます。

比べること今売る場合完成を待つ場合
売却価格現在の査定・成約事例を確認将来の価格は未確定として複数条件で試算
保有中の収支売却決済までの収入・支出完成予定までの収入・支出と臨時費用
残債・売却費用・税金売却予定日時点で確認将来の売却予定日時点で別に確認
工程現在の進捗を買主への説明材料にする竣工と開業、工程変更を区別する

「完成後なら高く売れる」という見方には、待つ間の負担と将来価格の不確実性が抜けています。一方、毎月赤字という理由だけで即売却を選ぶのも、この比較を省略することになります。価格上昇を前提にせず、同じ比較時点で今後の収支と売却手残りをそろえる考え方です。

計画ごとの工程は地域別の再開発一覧、毎月の負担は持ち出しの年間・累積額、入力と計算は年間収支・売却手取りのシミュレーション解説で確認できます。

計算の基本

売却後の現金手残り(説明用)売却価格 − ローン残債 − 売却費用 − 税金等

税務上の課税譲渡所得は、収入金額から取得費と譲渡費用を差し引き、特別控除がある場合はその額も差し引いて計算します。建物の取得費には、所有期間中の減価償却費相当額が反映されます。

別記事で詳しく解説投資用マンションの譲渡所得税はいくら?取得費・減価償却・譲渡費用・長期/短期の税率を図解で確認詳しく見る →

国税庁 No.3202|譲渡所得の計算のしかた(分離課税):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm

国税庁 No.3208|長期譲渡所得の税額の計算:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm

国税庁 No.3252|取得費となるもの:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3252.htm

国税庁 No.3258|取得費が分からないとき:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm

売却判断の全体像

売却を進める前に、「誰に、どの方法で売り、いくら残り、いつ税金を払うのか」を順番に確認します。

図が収まらない場合は、図の中を左右にスクロールできます相関図|売却価格・残債・費用・税金と手残りの関係

売却価格、残債、売却費用、譲渡所得税、売却時期は連動しています。

この流れで重要なのは、売却価格だけでなく、売却方法、費用、ローン残債、税務上の利益、納税時期が連動していることです。高い査定額でも、仲介手数料や一括返済費用、譲渡所得税を差し引くと、口座に残る金額が小さくなる場合があります。

売却方法は仲介か買取か

仲介は、不動産会社が買主を探し、買主との売買契約を成立させる方法です。市場価格に近い価格を目指しやすい一方、買主が見つかるまで時間がかかる可能性があり、内覧、価格交渉、融資審査、契約条件の調整が発生します。

買取は、不動産会社などが買主となり、直接購入する方法です。買主探しや内覧を省略しやすく、売却時期を決めやすい一方、再販売や事業者側のリスクを織り込むため、仲介より売却価格が低くなることがあります。

仲介と買取は、価格だけでなく、次の条件を同じ前提で比較します。

比較項目仲介買取
価格市場価格に近い価格を狙いやすい価格が低くなる可能性がある
期間買主探しや融資審査で読みにくい売却時期を決めやすい
費用仲介手数料が発生する場合がある仲介手数料の有無を契約形態で確認
契約条件買主の融資審査・解除条件を確認再販売価格ではなく自分の手取りで判断

国土交通省は、媒介契約には専属専任媒介、専任媒介、一般媒介の類型があると説明しています。仲介を選ぶ場合は、どの媒介契約を締結するのか、契約期間、レインズ登録、販売活動の報告方法、途中解約の条件を確認します。

売却時にかかるコスト

売却時のコストは、売却価格から自動的にすべて差し引かれるとは限りません。支払先、支払時期、契約上の発生条件を分けて確認します。

費用項目確認する内容
一括繰上返済手数料固定額、残高に対する割合、受付方法、違約金の有無
抵当権抹消関連費用司法書士報酬、登録免許税、完済書類の受領時期
仲介手数料金額、税込・税別、支払時期、契約解除時の扱い
印紙税契約金額、紙・電子契約の別、課税文書の扱い
賃貸管理の解約費用解約予告期間、違約金、精算費用、最終送金
リフォーム費用成約価格への反映、工事前後の査定差、回収可能性
敷金・預かり金買主への承継、返還・精算の責任、決済明細
固定資産税等の精算決済日を基準にした日割り精算と契約上の扱い
税理士報酬譲渡所得の計算、資料復元、確定申告の依頼範囲

消費税はかかるのか

投資用マンションの売却では、土地と建物で消費税の扱いが異なります。また、売主の課税事業者区分やインボイス登録、売却時期によって、売却翌年・翌々年の判定に影響する場合があります。

ここでは確認項目を簡潔に示します。詳しい判定は、次の記事で確認してください。

別記事で詳しく解説投資用マンション売却後の消費税・インボイス制度土地・建物の区分、課税事業者、インボイス、納付時期を確認詳しく見る →
確認項目確認する内容
土地・建物土地部分と建物部分の価格内訳、税込・税抜表示
課税事業者区分基準期間・特定期間の課税売上高
インボイス登録状況、買主からの交付依頼、特例の適用可否
時期売却年だけでなく、翌年・翌々年の判定と納付資金

売却前に集める書類

書類は、売却を依頼する前、売買契約前、確定申告前の3段階に分けて集めます。

売却条件を確認する書類

□ 購入時の売買契約書

□ 購入時の重要事項説明書

□ 現在の登記事項証明書または登記識別情報

□ 現在のローン返済予定表

□ 金融機関の一括返済見込額

□ 賃貸借契約書

□ 賃料・管理費・修繕積立金の明細

□ 賃貸管理委任契約書と解約条項

□ 固定資産税・都市計画税の納税通知書

□ 管理組合の長期修繕計画、総会議事録、修繕履歴

譲渡所得税を計算する書類

□ 購入価格の土地・建物内訳

□ 購入時の仲介手数料、印紙税、登記費用などの領収書

□ 建物の減価償却費が分かる確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書

□ 改良費・設備費の領収書

□ 売却時の仲介手数料、印紙代、測量費などの領収書

□ 売買契約書、決済明細、精算書

□ 譲渡年の所有期間を判定できる取得日・売却日資料

不足書類がある場合は、購入した不動産会社、金融機関、管理会社、司法書士、税理士へ順番に照会します。書類がないまま概算だけで契約すると、売却後に税額が変わる可能性があります。

譲渡所得税の計算方法

不動産の譲渡所得は、給与所得や賃貸収入とは分けて計算する分離課税です。基本式は次のとおりです。

課税譲渡所得譲渡価額 − 取得費 − 譲渡費用 − 特別控除

取得費には購入代金や購入時の仲介手数料などが含まれます。ただし建物は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた後の金額を使います。譲渡費用には、売却のために直接かかった仲介手数料、売買契約書の印紙代、測量費、立退料、取壊し費用などが含まれます。

取得費とは

取得費とは、売却した土地・建物を取得するために支出した金額です。単に「購入価格」だけではなく、購入時の仲介手数料や、一定の税金・登記費用、設備費・改良費などを含めて整理します。

ただし、投資用マンションでは次の2点を分けて確認します。

  • 建物部分は、購入代金などから所有期間中の減価償却費相当額を差し引く
  • 賃貸経営の必要経費としてすでに計上した支出は、取得費に重ねて含めない
取得費に含める候補具体例確認ポイント
購入代金土地・建物の売買代金土地と建物の内訳を確認
購入時の手数料購入時の仲介手数料など領収書・売買契約書で確認
取得時の税金・登記費用登録免許税、不動産取得税、印紙税、登記費用業務用資産では扱いが異なるため、二重計上に注意
設備費・改良費資産価値を高める設備や改良に要した費用通常の修繕費と区分し、工事内容・領収書を保存
取得前後の一定の利子使用開始前の期間に対応する借入金利子使用開始後のローン利息とは区分

建物の取得費と減価償却

建物の取得費は、購入代金などをそのまま使うのではなく、所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます。土地は減価償却しません。

調整後の建物取得費建物の取得価額 + 建物に対応する取得費・改良費 − 減価償却費相当額

賃貸経営で減価償却費を必要経費に計上していなかった年があっても、売却時の取得費計算では、原則として所有期間に対応する減価償却費相当額を確認します。過去の確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書、購入契約書の土地・建物内訳をそろえて計算します。

経費に認められる範囲

「経費」と一括りにせず、税務上は次の2つを分けます。

  • 取得費:購入・取得するための支出
  • 譲渡費用:売却するために直接かかった支出

譲渡費用として差し引けるのは、売却との直接の因果関係がある費用です。物件を保有・管理するための一般的な支出は、売却したから発生した費用ではないため、原則として譲渡費用にはなりません。

区分認められる可能性がある主な支出原則として譲渡費用にならない支出
売却手続売却時の仲介手数料、売主負担の印紙税売却と無関係な税理士・専門家費用
物件の整理売却のための測量費、借家人への立退料通常の賃貸管理費、管理委託料
建物の処分土地を売るために建物を取り壊した費用・建物の損失額保有中の通常修繕費、維持管理費
契約解除より有利な条件で売るために既契約を解除した違約金ローン元本の返済額、一括返済額
税務・金融売却に直接必要な資料作成費等は個別に確認固定資産税、借入金の通常の支払利息、住民税・所得税

判断が分かれやすい支出

  • リフォーム費用:売却のために直接必要だったのか、賃貸継続のための通常修繕なのかで扱いが変わります。工事前後の査定、工事内容、売却との関係を記録します。
  • 管理解約違約金:売却のために賃貸管理契約を解約したとしても、譲渡費用として認められるかは契約内容と直接性の確認が必要です。自動的に差し引かないでください。
  • 抵当権抹消費用:売却決済に直接必要な費用でも、税務上の譲渡費用として扱えるかは内容を確認します。現金手残りの計算には含めても、課税譲渡所得から差し引けるとは限りません。
  • 仲介手数料:購入時のものは取得費、売却時のものは譲渡費用として、支払った時期ごとに分けます。
  • ローン残債:現金の手残りからは差し引きますが、ローン元本そのものを取得費や譲渡費用として差し引くものではありません。

取得費が分からない場合

購入契約書や領収書が見つからず取得費が分からない場合、または実際の取得費が譲渡価額の5%を下回る場合は、譲渡価額の5%を概算取得費とできる場合があります。

概算取得費譲渡価額 × 5%

例えば、3,000万円で売却し取得費が分からない場合、概算取得費は150万円です。ただし、購入時の資料から実際の取得費を復元できる場合は、5%を使うことで取得費が小さくなり、課税譲渡所得が大きくなる可能性があります。すぐに5%で確定せず、購入契約書、金融機関資料、過去の申告書を確認します。

所有期間は、売却日から単純に5年を数えるのではなく、売却した年の1月1日時点で判定します。5年を超えると長期、5年以下だと短期です。長期は所得税15%、住民税5%に加え復興特別所得税がかかります。短期は所得税30%、住民税9%に加え復興特別所得税がかかります。実際の税額は特例、損益、申告内容により変わるため、税率だけで納税額を確定させません。

減価償却がわからない場合

減価償却とは、建物の購入費を使用期間に分けて費用化する考え方です。土地は減価償却しません。賃貸経営で過去に計上した減価償却費は、売却時の建物取得費を小さくする方向に働き、譲渡所得が大きくなることがあります。

過去の減価償却費がわからない場合は、次の順番で確認します。

□ 過去の確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書を確認する

□ 購入時の建物価格、構造、築年数、取得日を確認する

□ 税理士または税務署への相談用に購入・売却資料をそろえる

□ 資料が復元できない場合は、取得費不明の扱いと概算取得費を比較する

取得費がわからない場合や、実際の取得費が譲渡価額の5%を下回る場合、譲渡価額の5%を概算取得費とできる場合があります。ただし、概算取得費を使うと取得費が大きく下がり、課税譲渡所得が大きくなることがあります。減価償却が不明だからといって、すぐに売却価格の5%で計算せず、購入契約書、金融機関資料、過去申告書を探してから比較します。

譲渡所得税と現金の手残りは別の計算

売却後の現金手残りは、ローンを返済できるかを見るための計算です。一方、譲渡所得は税務上の利益を計算するための数字です。ローンの元本返済額は、現金の流出ですが、譲渡所得の取得費からそのまま差し引くものではありません。

現金の手残り売却価格 − ローン一括返済額 − 売却時コスト − 決済精算
課税譲渡所得売却価格 − 調整後取得費 − 譲渡費用 − 特別控除

この2つを混ぜると、「現金はほとんど残らないのに税金がかかる」「税務上は赤字なのにローン返済資金が不足する」といった状態を見落とします。

還付金と譲渡所得税がある場合の資金フロー

図が収まらない場合は、図の中を左右にスクロールできます図解|還付金・売却代金・ローン返済・譲渡所得税の資金フロー

例として、賃貸経営の確定申告で還付金30万円を受け取り、その後に投資用マンションを売却したケースを考えます。

前提条件金額・内容
売却価格2,800万円
ローン一括返済額2,600万円
仲介手数料・印紙代・管理解約費用等125万円
調整後取得費2,400万円
譲渡費用125万円
所有期間長期譲渡に該当する前提
前年の確定申告による還付金30万円
売却決済時の現金2,800万円 − 2,600万円 − 125万円 = 75万円
課税譲渡所得の概算2,800万円 − 2,400万円 − 125万円 = 275万円
長期譲渡の概算税額275万円 × 20.315% = 約55.9万円
売却後に税金を支払った後の現金75万円 − 約55.9万円 = 約19.1万円

還付金30万円は、過去の賃貸所得に対する所得税等の精算であり、譲渡所得税から自動的に差し引かれるお金とは限りません。還付金がすでに入金されている場合、家計全体の資金残高は増えますが、売却による納税資金とは別に管理します。この例では、還付金を含めた一時的な資金増加は約49.1万円ですが、これは売却利益が49.1万円あったという意味ではありません。

また、譲渡所得税の納付時期は売却決済時とは別になることがあります。売却代金の入金時に納税資金を使い切らず、確定申告と住民税の支払いまで残す金額を確保します。還付金、売却代金、ローン返済、譲渡所得税、住民税を時系列で並べることが、資金ショートを防ぐポイントです。

売却時に連絡する相手と確認内容

賃貸管理の解約:賃貸管理会社。解約予告期間、違約金、入居者への通知、敷金・預かり金、最終送金、管理資料の引継ぎを確認する。

一括繰上返済:金融機関。完済予定額、手数料、返済日、抵当権抹消書類、決済日に必要な書類を確認する。

売却仲介:仲介会社。査定根拠、媒介契約、広告方法、レインズ登録、仲介手数料、契約解除条件を確認する。

買取会社:買取会社。買取価格の根拠、再販売前提、契約不適合責任、解除条件、違約金を確認する。

税理士:税理士。取得費、減価償却、譲渡費用、消費税、長期・短期判定、確定申告を確認する。

司法書士:司法書士。抵当権抹消、本人確認、登記関係書類、決済日の手続きを確認する。

売買契約書で確認すること

契約条件の詳細は、次の記事に切り分けて整理しています。この記事では、売却前に確認すべき主要項目を簡潔に示します。

別記事で詳しく解説投資用マンションの売買契約で確認すること解除条件・契約不適合責任・賃貸借契約・引渡し条件を整理詳しく見る →

売買契約書は、価格だけでなく「いつ、どの条件で、誰が解除できるか」を確認します。

□ 売買価格、手付金、中間金、残代金の金額と支払日

□ 決済日、引渡し日、所有権移転日

□ ローン特約などの停止条件があるか

□ 買主の融資否決時に契約が白紙解除になるか

□ 手付解除の期限と手付金の扱い

□ 違約金の金額と請求条件

□ 契約不適合責任の範囲、期間、免責の有無

□ 入居者、敷金、預かり金、賃貸借契約の承継方法

□ 管理費、修繕積立金、固定資産税等の精算基準日

□ 付帯設備、残置物、修繕、リフォームの負担者

□ 抵当権抹消を決済日に行えること

□ 特約条項に、口頭説明と異なる条件が入っていないか

□ 買取契約の場合、再販売できなかった場合の解除・減額条件がないか

停止条件とは、一定の条件が成立した場合に契約の効力が発生する、または解除される仕組みを指します。ローン特約などは、対象となる金融機関、申込期限、承認期限、解除方法を確認しないと、条件が成立しなかったときの扱いを誤る可能性があります。特約は本文より短くても結果を大きく変えるため、契約前に不動産会社だけでなく、必要に応じて司法書士や弁護士へ確認します。

売却を進める前の最終判定

売却を進めてよいかは、次の4つがそろっているかで判断します。

□ 仲介と買取を同じ前提で比較した

□ 売却価格からローン、費用、税金を引いた現金手残りを計算した

□ 減価償却と取得費の根拠資料を確認した

□ 契約書の特約、停止条件、決済時期、解除条件を読んだ

4つのうち1つでも未確認なら、査定額だけで契約を急がない方が安全です。

一次情報

国税庁 No.3202「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm

国税庁 No.3208「長期譲渡所得の税額の計算」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm

国税庁 No.3211「短期譲渡所得の税額の計算」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm

国税庁 No.3240「個人が事業用建物等を譲渡した場合の消費税」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3240.htm

国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html

営業担当者・専門家に聞く質問

  • この査定額は、どの成約事例と比較していますか?

  • 売却価格から残債・費用・税金を差し引いた手残りはいくらですか?

  • 仲介と買取で、価格・期間・契約条件はどう変わりますか?

  • 売却を急ぐ理由は何ですか?期限を過ぎた場合の影響は?

  • 取得費・減価償却・所有期間の判定は誰が確認しますか?

売却価格より、残債と費用を引いた手残りで決める

この条件で判断する

査定額の高さだけでは判断しません。

仲介・買取を同じ前提で比較し、ローン残債・売却費用・税金を差し引いた手残りと、今売る場合・保有を続ける場合の両方を確認してから、売却を進めるか判断します。

本稿は一般的な情報提供を目的とし、個別の投資・税務・融資・法律上の助言ではありません。重要な判断は契約書類と最新制度を確認し、必要に応じて専門家へ相談してください。

よくある質問

投資用マンションの売却手残りがマイナスなら、税金はかかりませんか?

手残りと課税対象の譲渡所得は別です。残債返済で現金が不足しても、売却価格から取得費と譲渡費用を引いた譲渡所得がプラスになる場合があります。税額と決済資金を分けて確認します。

残債がある投資用マンションは売れますか?

残債があるだけで売却できないわけではありません。売却予定日の一括返済額、費用、抵当権抹消の段取りを金融機関へ確認し、売却代金で不足する場合の追加資金も事前に確認します。

仲介と買取はどちらがよいですか?

価格だけでなく、売却期間、契約条件、費用、ローン返済時期を同じ前提で比較します。

減価償却費が分からない場合はどうしますか?

購入契約書、過去の確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書を確認し、復元できない部分は税理士や税務署へ相談します。

次にすること

売る時期と手残りを、自分の物件で比べる

現在の残債・家賃・費用から、今売る場合と5年・10年保有する場合を比較します。税金を含める場合は取得費などの入力条件を確認してください。

保有中・売却を考えている方優先

今売る手残りと、保有を続ける場合を比べる

売却価格の幅、残債、家賃・費用を入力し、今・5年後・10年後を比較します。

売る・持つを比較する

登録不要で試算できます。グラフは税引前総手残りの比較です。将来の売却価格・家賃等は入力した仮定に基づきます。