売買契約書に署名した後で「このまま決済してよいのか」と不安になった買主へ向けた記事です。クーリング・オフによる契約解除は、契約日から一律8日以内ならできる制度ではありません。 売主、先行する確定的な申込場所(先行する確定的な申込みがなければ契約場所)、告知書を受けた日、通知発信前の代金全額の支払い、物件の引渡しを分けて確認します。
結論|契約日から一律8日ではない
不動産売買のクーリング・オフは、宅地建物取引業法37条の2に定められた制度です。一般的な通信販売・訪問販売の説明をそのまま当てはめるのではなく、まず次の4点を確認します。
| 確認項目 | 契約書・資料で確認すること | 対象となる方向 |
|---|---|---|
| 売主と買主 | 契約書の売主自身が免許を受けた宅建業者か。買主は宅建業者ではないか | 売主が宅建業者、買主が非宅建業者 |
| 申込み・契約場所 | 先行する確定的な申込みをどこでしたか。申込みをせず直接契約した場合は契約場所 | 法定の「事務所等」以外 |
| 8日の起算 | 法定6項目を記載した告知書を、いつ受け取りましたか | 告知日を1日目として8日目までに書面を発信 |
| 支払いと引渡し | 解除等の書面を発信する前に、代金全額の支払いと物件の引渡しが両方済みましたか | 発信前に両方が完了していない |
4点すべてを機械的なチェックだけで断定することはできません。例えば、会社名が仲介欄にあるだけで、契約上の売主が宅建業免許を受けていない個人または非宅建業者なら、この制度の「宅建業者が自ら売主」の要件を満たしません。一方、投資用物件であることだけを理由に対象外になるわけでもありません。
東京都の資料は、対象を「宅建業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約」とし、事務所等以外の場所、8日の起算、書面通知、代金全額の支払いと引渡しをそれぞれ要件として説明しています。外部リンク東京都住宅政策本部の解説資料juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp ↗
この記事で分かること
- クーリング・オフができる売主・買主・場所・期間の条件
- 「8日」を契約日から数えない理由と具体的な日付例
- メールやLINEだけに頼らず、紙で解除通知を発信する手順
- クーリング・オフ、手付解除、ローン特約、合意解除の違い
- クーリング・オフできない場合と、決済・引渡し後の相談手順
本記事は一般的な制度の整理です。申込書の法的な確定性、場所が「事務所等」に当たるか、引渡しが完了したかなどは個別事情で変わります。AIに契約解除の可否を決めさせず、原本を専門窓口へ提示してください。
最初に取るべき行動
まず、契約の時系列を1枚に書き出します。
- 売主を確認する:売買契約書の「売主」欄、宅建業免許番号、仲介会社との違い
- 申込みと契約の場所を確認する:先行する確定的な申込みの有無、会社、モデルルーム、喫茶店、自宅、勤務先、オンラインの別と、場所を提案した人
- 告知書を確認する:受領日、記載内容、受領方法。書類名だけでなく法定6項目の有無
- お金と引渡しを確認する:申込金、手付金、残代金の支払日、鍵・占有・引渡確認書、登記の状況
- 証拠を保存する:契約書類、封筒、メール、LINE、録音、面談メモ、振込記録、ローン書類
契約前で、まだ署名していない場合はを先に確認してください。営業を止めたい段階ならが担当範囲です。
クーリング・オフの適用条件
1. 売主自身が宅建業者である
宅建業法37条の2は、宅建業者が自ら売主となる宅地・建物の売買が対象です。仲介会社が宅建業者でも、契約書上の売主が宅建業免許を受けていない個人または別の非宅建業者であれば、この条文の対象外です。個人でも宅建業免許を受けた売主はあり得るため、法人・個人ではなく免許と契約上の立場で確認します。買主も宅建業者である取引は適用除外です。
反対に、自宅の所有者が売主となって宅建業者へ売る場合に、所有者側が同じ制度を使えるわけではありません。新宿区も、自宅を不動産業者へ売る契約では訪問購入のクーリング・オフ制度を利用できないと案内しています。外部リンク新宿区の消費生活情報city.shinjuku.lg.jp ↗
2. 確定的な申込み、または直接の契約を事務所等以外でしている
クーリング・オフの対象となる「申込み」は、売主業者が承諾すれば売買契約が成立する程度に確定的・具体的なものです。先行する確定的な申込みをせず、事務所等以外で直接契約した買主も対象となる余地があります。単なる購入希望や受付順位の確保にすぎない場合は、その表明を法的な「買受けの申込み」と扱わず、実際の契約場所を確認します。
申込書の名称だけで判断せず、物件、代金、当事者、承諾方法、申込金の扱いを確認します。事務所で単なる興味を示し、その後、喫茶店等で初めて確定的な申込み・契約をした場合は、事務所で「申込みをした」とは限りません。
3. 告知日から8日目までに書面を発信する
法定事項を記載した書面で制度と方法を告げられた日が起算日です。告知書を受け取っていない、または必要事項が欠けている場合は、8日の期間が始まっていない可能性があります。ただし、期間が無制限に残るわけではなく、解除等の書面を発信する前に代金全額の支払いと引渡しの両方が済むと権利を行使できません。
4. 代金全額の支払いと引渡しの両方が終わっていない
「手付金を払った」「所有権移転登記をした」という1項目だけで結論を出しません。条文が定める終了条件は、解除等の書面を発信する前に、引渡しを受け、かつ代金全額を支払った場合です。有効な書面を先に発信すれば、その発信時に効力が生じます。ただし、何をもって引渡しとするかや、決済時の事実関係は個別確認が必要です。
8日の起算日と数え方
8日は告知日を1日目として数える
例えば、法定事項を満たす告知書を8月28日に受け取った場合は、8月28日が1日目、9月4日が8日目です。対象となるなら、9月4日までに解除等の書面を発信します。9月4日までに売主へ到着することが条件ではありません。
| 日数 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | 6日目 | 7日目 | 8日目 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 日付例 | 8/28 | 8/29 | 8/30 | 8/31 | 9/1 | 9/2 | 9/3 | 9/4 |
土日祝日を除いて数える制度ではありません。郵便局の窓口時間や内容証明の取扱郵便局を先に確認し、最終日まで待たないでください。
起算に必要な告知書の6項目
東京都資料が宅建業法施行規則16条の6に基づいて示す項目は次のとおりです。
- 買受申込者または買主の氏名・住所
- 売主業者の名称・住所・免許証番号
- 告知日から8日を経過する日まで書面で申込みの撤回・契約解除ができることと、支払い・引渡しによる例外
- クーリング・オフ時に売主が損害賠償・違約金を請求できないこと
- 買主が解除等の書面を発した時に効力が生じること
- 手付金その他の金銭を受領している場合は遅滞なく全額返還すること
書類の表題が「クーリング・オフ告知書」でも、必要事項が欠けていれば有効な告知とは限りません。受領日だけでなく本文を保存し、専門家へ見せてください。
申込場所・契約場所の判定
先行する確定的な申込みと契約を別の日・別の場所で行った場合は、原則として申込場所を軸に確認します。先行する申込みをせず直接契約した場合は、契約場所を確認します。
| 確定的な申込場所 | 契約場所 | 一般的な整理 |
|---|---|---|
| 事務所等 | 事務所等 | 対象外 |
| 事務所等 | 喫茶店など事務所等以外 | 対象外 |
| 喫茶店など事務所等以外 | 事務所等 | 対象となる余地 |
| 喫茶店など事務所等以外 | 事務所等以外 | 対象となる余地 |
| 先行する確定的な申込みなし | 事務所等 | 対象外 |
| 先行する確定的な申込みなし | 事務所等以外 | 対象となる余地 |
ここでいう「事務所等」には、売主業者の本店・支店だけでなく、一定の案内所やモデルルーム、売主が代理・媒介を依頼した宅建業者の一定の事務所等が含まれます。看板がない、担当の宅地建物取引士が不在だったという事実だけでは決まりません。
自宅・勤務先
- 買主が自ら「自宅・勤務先で説明を受けたい」と申し出た場合:事務所等として扱われ、対象外となる方向
- 業者が訪問を提案し、買主が訪問を了承しただけの場合:事務所等には当たらず、対象となる余地
電話・オンライン・メールで申込みをした場合
電話やオンラインなど非対面の申込みでは、買主が意思表示をした時に所在していた場所を確認します。国土交通省の現行の解釈・運用は、オンライン申込み等では顧客側の所在場所を申込場所として扱う考え方を示しています。外部リンク国土交通省の解釈・運用(令和8年4月1日施行版)mlit.go.jp ↗
メールの送信場所、オンライン面談の場所、申込フォームの送信時刻だけでなく、それ以前に事務所等で確定的な申込みをしていなかったかも確認します。
クーリング・オフ通知のやり方
宅建業法37条の2は、買主からの申込みの撤回・契約解除を書面で行うと定めています。宅建業者が行う宅地・建物の販売は特定商取引法26条1項8号ロにより同法の訪問販売等の規定から除外されるため、同法9条の「書面または電磁的記録」というルールを宅建業法37条の2へ流用できません。メールやLINEだけに頼らず、紙の書面を発信してください。
発信までの手順
- 売買契約書で、売主業者の正式名称・代表者・住所を確認する
- 対象物件と、申込みの撤回または契約解除をする意思を明記する
- 紙の通知を期限内に発信し、文面の控えと引受時刻が分かる受領証を保管する
- 内容を証明するために内容証明、配達を証明するために配達証明の利用を検討する
- 通知書の写しや発送事実を補助的にメール・LINEでも送り、送信記録を保存する
- 売買とは別のローン、保証、管理、サブリース等の契約先へも個別に確認する
外部リンク日本郵便の内容証明post.japanpost.jp ↗は「いつ、どのような内容の文書を、誰から誰へ差し出したか」を証明する制度です。外部リンク配達証明post.japanpost.jp ↗は配達した事実を証明します。電子内容証明も電子メールで相手へ通知する仕組みではなく、日本郵便が内容証明郵便として差し出すサービスです。
通知書テンプレート(Word)
東京都資料に掲載された解除通知の参考例と宅建業法37条の2を踏まえた、一般的な入力用の文案です。買主の通知書について、テンプレートに挙げた各項目が一律に法定必須事項となることを示すものではありません。
Word内は、1ページ目が契約解除用、2ページ目が申込み撤回用、3ページ目が送付前チェックです。契約段階に合う1ページだけを印刷し、売主宅建業者へ発信してください。共同買主がいる場合や代理人が発送する場合は、全買主の意思表示や代理権の扱いを専門家へ確認します。
このファイルは、入力後も内容証明郵便の文字数・行数等へ自動で適合する書式ではありません。内容証明を利用する場合は、日本郵便の最新条件へ合わせてください。通知に詳しい理由を書くことは法定要件ではありません。営業担当者との議論を長く書くより、対象契約と解除等の意思を明確にし、証拠は別に整理します。
紙の通知後に送る補助メール
COPY TEMPLATE
紙の通知書を発送した後の補助メール
売買契約を締結済みの場合の文案です。[ ]内を実際の情報へ置き換えてください。
件名と本文をまとめてコピーできます。
件名:【補助連絡】クーリング・オフ通知書を本日書面で発送しました([物件名・部屋番号])
[売主宅建業者の正式商号]
[担当者名]様
[買主氏名]です。
本日[年月日・時刻]、下記売買契約について、宅地建物取引業法第37条の2に基づき契約を解除する旨の紙の通知書を、[内容証明郵便・配達証明付き等、実際の方法]で貴社宛てに発送しました。
本メールは、同日発送した紙の書面の内容と発送事実を補助的に連絡するものであり、宅地建物取引業法上の書面通知に代わるものではありません。
[通知書の写しを添付する場合:念のため、発送した通知書の写しを添付します。]
物件:
[物件名・所在地・部屋番号]
売買契約締結日:
[年月日]
紙の通知書の差出日:
[年月日]
発送方法:
[発送方法]
お問い合わせ番号:
[追跡番号]
貴社が本件に関して受領した手付金その他の金銭の全額を遅滞なく返還し、返還予定日および返還方法を書面でご連絡ください。
なお、本通知の対象は上記売買契約です。融資、保証、管理、サブリースその他の関連契約は、本メールのみで当然に解除されるものではないため、各契約先へ別途確認・通知します。
[買主氏名]
[連絡先]「発送しました」と書くのは、郵便局で実際に引き受けられた後です。発送方法・お問い合わせ番号を受領証どおりに入力し、通知書の写しを添付すると書いた場合は実際に添付します。メールの宛先も、営業担当者だけでなく売主宅建業者の正式な連絡先を含めてください。
手付金・違約金はどうなるか
要件を満たすクーリング・オフの効果は次のとおりです。
- 売主業者は損害賠償や違約金を請求できない
- 売主業者が受領した手付金その他の金銭は、遅滞なく全額返還する
- これらの規定より買主に不利な特約は無効
- 事前に「クーリング・オフしない」と合意していても、適用がある場合に権利を放棄させる扱いは認められない
「違約金を払えば解除できる」と売主から説明されても、まずクーリング・オフの要件を先に確認します。対象なら、契約違反による解除の違約金と同じ扱いにはなりません。全日本不動産協会の2026年5月の解説も、対象となる契約解除では違約金を請求できず、受領済みの手付金等を返還する必要があると整理しています。外部リンク全日本不動産協会の法務相談zennichi.or.jp ↗
ただし、売買契約以外のローン手数料、保証料、管理契約の費用などが当然にすべて返るとは限りません。契約ごとに相手方、解除条件、精算条件を確認します。
手付解除・ローン特約・合意解除との違い
クーリング・オフが使えないからといって、すぐに「違約金による解除」だけを選ぶ必要はありません。売買契約書の解除条項を順番に確認します。
| 方法 | 主な条件・期限 | 買主の主な金銭負担 | 確認する書類 |
|---|---|---|---|
| クーリング・オフ | 宅建業法37条の2の売主・場所・告知・履行状況等の要件 | 違約金・損害賠償なし。売主受領金は全額返還 | 告知書、申込書、売買契約書、場所・支払・引渡しの記録 |
| 手付解除 | 売主宅建業者・買主非宅建業者では、相手方の履行着手前。これより買主に不利な特約は無効 | 買主は手付を放棄 | 売買契約書の手付条項、支払記録、履行状況 |
| ローン特約 | 契約記載の金融機関、申込条件、否決理由、通知期限等を満たす | 条項どおりなら白紙解除となることがある | ローン特約、申込・審査結果、通知記録 |
| 合意解除 | 売主と買主が解除条件に合意 | 返金・実費・違約金等は合意内容による | 合意解除書、精算表、関連契約 |
| 債務不履行等 | 契約違反、催告の要否、解除条項など個別要件 | 相手方の責任や損害により異なる | 契約書、説明資料、やり取り、損害資料 |
不動産適正取引推進機構は、手付解除について、買主は支払った手付を放棄し、売主は受領した手付の倍額を現実に提供するという違いを説明しています。外部リンクRETIOの契約解除Q&Aretio.or.jp ↗
本記事の中心ケースである売主宅建業者・買主非宅建業者の売買では、宅建業法39条により、手付は性質を問わず解約手付とみなされます。相手方が履行に着手するまでは手付解除ができ、これより買主に不利な特約は無効です。契約書に独自の解除期限があっても、その日だけで不可と決めず、履行着手の有無を確認してください。その他の売買では、民法557条と契約条項を個別に確認します。
手付金100万円の比較例
物件価格3,000万円、手付金100万円を支払ったと仮定します。
- クーリング・オフの要件を満たす場合:手付金100万円は全額返還、違約金・損害賠償は0円
- 手付解除を利用する場合:買主は通常、手付金100万円を放棄
- 違約解除となる場合:100万円と決めつけず、契約の違約金条項と請求要件を確認
売主が宅建業者で買主が非宅建業者の場合、損害賠償額の予定と違約金の合計について売買代金の20%を超える部分を無効とする宅建業法38条があります。しかし「いつでも20%払えば解除できる」「必ず20%を払う」という意味ではありません。適用する解除条項を先に確定します。
クーリング・オフできない場合の対処法
次の順で、契約書と事実を照合します。
- まだ契約が成立していないか:申込書だけなら、申込みの撤回と申込金の返還条件を確認する
- ローン特約を利用できるか:対象金融機関、申込義務、否決理由、解除期限、通知方法を確認する
- 手付解除ができるか:売主宅建業者・買主非宅建業者なら契約期限だけで不可と決めず、相手方の履行着手を確認する。その他の売買では手付の性質と契約条項も確認する
- 説明・契約内容に問題があるか:債務不履行、契約不適合、錯誤・詐欺・強迫、消費者契約法等の要件を弁護士へ確認する
- 合意解除を交渉するか:返金、実費、違約金、登記、ローン、管理契約の精算を文書化する
「後悔した」「収支が思ったより悪い」という事情だけで、買主が無条件に一方的解除できるとは限りません。一方、営業説明と契約書が違う、重要な事実を告げられていない、断定的な説明を受けた、署名を強要されたなどの事情があれば、日時・発言・資料を保存してください。どの法律・条項が使えるかは個別に判断します。
投資用物件の買主が消費者契約法上の「消費者」に当たるかは、会社員か個人かという属性だけでなく、契約目的や取引の実態による個別判断です。「投資用だから対象外」「個人だから必ず対象」と決めず、弁護士へ確認してください。
決済後・引渡し後の対処法
宅建業法37条の2は、買主が解除等の書面を発信する前に、引渡しを受け、かつ代金全額を支払った場合、クーリング・オフを行使できないと定めています。有効な書面を先に発信していれば、発信時に効力が生じるため、支払い・引渡しとの前後関係を確認します。
| 代金全額の支払い | 引渡し | クーリング・オフの完了要件だけを見た整理 |
|---|---|---|
| 未了 | 未了 | 完了要件には該当しない |
| 完了 | 未了 | 片方だけでは完了要件に該当しない |
| 未了 | 完了 | 片方だけでは完了要件に該当しない |
| 完了 | 完了 | 解除等の書面をまだ発信していなければ、この制度による権利は行使できない |
片方だけが済んだケースでも、売主、場所、告知、8日の期間、書面通知など他の要件は必要です。登記だけが済んだ、鍵だけを受け取った、残代金の一部が未払いなどの事実から自己判断せず、決済書類と引渡確認書を弁護士へ示してください。
解除等の書面を発信する前に代金全額の支払いと引渡しの両方が完了した場合は、売買契約の条項、売主の債務不履行・契約不適合、意思表示の取消し、消費者契約法、合意解除など、別の根拠を検討します。登記の回復、ローンの返済、税金、管理・賃貸借関係が連動するため、一般的な記事やAI判定だけで処理しないでください。
決済が迫っている場合は、売主・金融機関・司法書士へ解除通知を発信したことや契約解除に争いがあることを直ちに連絡し、専門家への相談と並行して、ローン実行・登記申請・鍵の引渡しをどう扱うか確認します。無断で決済を欠席したり、返済を独断で止めたりすると別の債務不履行問題が生じ得ます。
相談先と持参する資料
| 相談先 | 向いている相談 | 連絡前にそろえるもの |
|---|---|---|
| 外部リンク消費者ホットライン188caa.go.jp ↗ | 最寄りの消費生活センター等への案内、事業者との消費者トラブル | 契約書、告知書、経緯メモ、連絡記録 |
| 不動産取引に詳しい弁護士・外部リンク法テラスhouterasu.or.jp ↗ | 適用可否、通知文、他の解除根拠、決済後、交渉・登記 | 書類一式、支払・引渡し・登記・融資資料、証拠 |
| 外部リンク宅建業者の免許行政庁mlit.go.jp ↗ | 虚偽説明、クーリング・オフ妨害、宅建業法上の問題 | 免許番号、会社・担当者、日時、説明・通知の証拠 |
| 外部リンク不動産適正取引推進機構retio.or.jp ↗ | 不動産取引の制度・契約解除に関する一般的な情報 | 契約の種類と確認したい論点 |
相談時は、次の時系列を伝えると論点を分けやすくなります。
「売主は[会社名・免許番号]です。[場所]で[日付・時刻]に申込み、[場所]で契約しました。クーリング・オフ告知書は[日付]に受け取りました。手付金[金額]円を支払い、残代金は[未了/完了]、引渡しは[未了/完了]です。通知期限と使える解除方法を確認したいです」
よくある質問
不動産のクーリング・オフは契約日から8日以内ですか?
契約日から一律8日ではありません。原則は、法定の6項目を記載した書面でクーリング・オフについて告げられた日を1日目として、8日目までに解除等の書面を発信します。告知書の未交付・記載不備がある場合は起算しない可能性がありますが、解除等の書面を発信する前に代金全額の支払いと引渡しの両方が済むと、この制度による権利は行使できません。
クーリング・オフはメールやLINEだけで通知できますか?
宅建業法37条の2は書面による通知を定めており、現行法に電磁的記録による代替規定はありません。メールやLINEだけに頼らず、紙の通知を期限内に発信し、内容証明と配達証明で内容・発送・配達の証拠を残す方法を検討してください。電子内容証明も、電子メール通知ではなく、日本郵便が内容証明郵便を差し出すサービスです。
自宅や勤務先で契約した場合はクーリング・オフできますか?
自宅・勤務先だから必ず対象になるわけではありません。買主が自ら、その場所で売買契約の説明を受けたいと申し出た場合は事務所等として扱われます。一方、業者側が訪問を提案し、買主が了承しただけなら対象となる余地があります。誰が、いつ、どの場所を提案したかを記録で確認します。
クーリング・オフすると違約金がかかりますか?
宅建業法37条の2の要件を満たすクーリング・オフであれば、売主業者は損害賠償や違約金を請求できず、受領済みの手付金その他の金銭を遅滞なく全額返還する必要があります。関連するローンや管理契約まで自動で解除されるとは限らないため、各契約先にも確認します。
クーリング・オフできない場合は手付金を放棄すれば解除できますか?
本記事の中心ケースである売主宅建業者・買主非宅建業者の売買では、手付は性質を問わず解約手付とみなされ、相手方が履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して解除できます。これより買主に不利な特約は無効です。契約書の期限だけで不可と決めず、履行着手の有無を弁護士等へ確認してください。その他の売買では手付の性質や契約条項も確認します。
代金の支払いか引渡しの片方だけが済んだ場合はどうなりますか?
宅建業法37条の2が権利を行使できなくするのは、解除等の書面を発信する前に、引渡しを受け、かつ代金全額を支払った場合です。片方だけならこの完了要件だけで直ちに排除されるとは限りませんが、売主・申込場所または契約場所・期間・通知方法など他の要件も満たす必要があります。個別の事実を専門家へ確認してください。
決済と引渡しの後でも契約解除できますか?
解除等の書面を発信する前に代金全額の支払いと引渡しの両方が済んだ場合は、宅建業法37条の2のクーリング・オフを利用できません。有効な書面を先に発信していれば発信時に効力が生じるため、前後関係を確認します。利用できない場合は、契約条項、債務不履行、契約不適合、錯誤・詐欺・強迫、消費者契約法、合意解除など別の根拠を弁護士へ相談してください。後悔したという理由だけで無条件に解除できるとは限りません。
まとめ
不動産売買契約を解除したいときは、「契約から8日」「違約金を払えば終わる」と一つの条件だけで判断しません。
- 売主自身が宅建業者かを契約書で確認する
- 先行する確定的な申込みの有無と場所を確認し、先行する確定的な申込みがなければ契約場所を確認する
- 法定事項を記載した告知書の受領日を1日目として8日を数える
- 解除等の書面を発信する前に、代金全額の支払いと引渡しの両方が終わったかを確認する
- 対象の可能性があれば紙の通知と専門窓口への相談を急ぐ
クーリング・オフできない場合も、手付解除、ローン特約、合意解除、契約上・法律上の別の根拠が残る可能性があります。費用と期限が異なるため、どの解除方法を使うかを先に分けてください。
法的な対応を確認した後、契約を継続する選択肢が残る場合に限り、提案資料の価格・家賃・費用・融資条件を自分の数字へ置き換えて再検証します。提案資料AIやExcelは資料整理と数値比較の補助であり、契約解除の可否を判断するものではありません。
次にすること
法的な対応を確認した後で、提案の数字を再検証する
クーリング・オフや他の解除方法の期限確認が先です。契約を継続する選択肢が残る場合だけ、AIとExcelで資料・収支を確認します。
提案資料の価格・費用・融資条件を整理
契約解除の可否は判定しません。販売資料に記載された条件と不足資料を分け、専門家への相談材料を整理します。
提案資料をAIでチェックする契約を継続する場合の収支を再計算
家賃・空室・金利・費用を変更し、営業資料の前提をそのまま使わずに比較します。
無料Excelで再計算するAIは購入判断を代行しません。資料の整理・比較と、自分で再計算するための補助として利用してください。