マンションの購入資料に「躯体80%・設備20%」と書かれていても、その割合だけで申告の根拠がそろうわけではありません。何を設備として取得し、いくらで、いつから使うのかを確認する必要があります。

躯体・建物附属設備・器具備品の違い

躯体(くたい)は柱・梁・床など、建物を支える構造部分を指す言葉です。ただし、税務上の「建物本体」は躯体だけを意味するわけではありません。 仕上げ・造作等も含め、実際の資産区分を確認します。

図は左右にスクロールできます

柱や梁などの建物本体、電気配線や給排水等の建物附属設備、独立した機器類を分け、取得価額と年数を確認する断面図
資産区分を理解するための模式図。個別機器の分類や価格割合を決定する図ではありません。
区分確認する対象の例
建物本体柱・梁・床などの構造、建物に属する部分
建物附属設備電気配線、給排水・衛生設備、昇降機など
器具・備品建物附属設備とは区別する独立した機器類

国税庁の耐用年数の取扱通達は、建物附属設備を原則として建物本体と区分して扱うとしています。木造等には建物と一括する取扱いがありますが、それをRC造へそのまま当てはめないよう注意してください。建物附属設備の通達2-2-1

設備はすべて15年ではない

次は新たに取得する新品についての法定耐用年数の例です。中古の場合や特殊な用途は別確認となります。

種類法定耐用年数
住宅用RC造・SRC造の建物47年
電気設備(蓄電池電源設備を除く一般的な区分)15年
給排水・衛生設備、ガス設備15年
エレベーター17年
冷暖房設備(冷凍機出力22kW以下)13年

出典:国税庁「収支内訳書(不動産所得用)の書き方」7頁の耐用年数表。同じ「エアコン」でも、ダクトを通じ広範囲を冷房する設備と、独立した機器では区分を確認する必要があります。見た目の名称だけで決めないでください。

現在購入する建物附属設備は、定額法です。設備に区分すれば定率法が使える、という説明は誤りです。短い期間での償却と、定率法による償却は別の話です。

2,000万円を本体と設備に分けた例

税務上の取得価額の合計2,000万円について、資料に基づき建物本体1,800万円、15年の建物附属設備200万円と合理的に区分できたと仮定します。新品、全額業務用、通年、通常の定額法、土地なしの例です。

区分取得価額 × 償却率年間償却費
RC住宅の建物本体・47年1,800万円 × 0.02239.6万円
設備・15年200万円 × 0.06713.4万円
合計2,000万円53.0万円

全額を仮に47年で計算すると44万円なので、区分した計算は初期の年間償却費が9万円多くなります。ただし、これは方法の影響を見る比較で、一括と区分を好きに選べるという提案ではありません。 1,800万円・200万円という比率も標準割合ではありません。

設備の償却が先に終われば、その分の償却費はなくなります。設備交換費が実際に発生する可能性もあります。初年度の節税額だけでなく、設備の償却終了前後と交換時の現金支出を分けて比較します。

設備割合ではなく、資産ごとの根拠をそろえる

確認に使うのは、工事見積・請求書・設備明細・価格配分の説明書・交換履歴です。中古の区分所有マンションでは、新築時の資料や交換記録がそろわない場合もあります。そのときは「設備を一律30%にする」などの近道をせず、どの資料と考え方で金額を説明するのか、税理士と整理してください。

共用設備も、一棟の設備金額を1戸の取得価額へそのまま加えることはできません。持分や売買代金に含まれる範囲を確認し、建物本体との二重計上を避けます。

購入後の工事は、修繕費なのか、資本的支出や新たな資産の取得なのかという別の判定もあります。例えば使用可能期間を延ばす・価値を増す部分は、その年の修繕費にならない場合があります。国税庁 No.1379

商談で確認したい設備の内訳

  • 「設備○万円」に含まれる資産の一覧はあるか。
  • その設備の価格を、どの書類・評価方法で求めたか。
  • 新築時の設備か、途中で交換したものか。
  • 各資産の耐用年数・方法・年額と、償却が終わる時期はいつか。
  • 修繕や交換を行った場合、税務処理と現金収支をどう分けたか。

「設備を分けると得ですか」より、**「この設備の区分・金額・年数を第三者に説明できますか」**と尋ねる方が、販売資料の確かさを確認できます。

よくある質問

設備は建物価格の30%にしてよいですか?

一律の割合を自由に使えるというルールではありません。工事内訳、取得価額の配分資料、設備の種類・交換時期などから根拠を確認します。

設備を交換したら、すべてその年の修繕費ですか?

工事内容により修繕費、資本的支出、新たな資産の取得などの確認が必要です。交換したという理由だけで一括の経費にはできません。