「RC造のマンションは47年で減価償却する」と聞いても、中古で買う場合の年数はそれだけでは決まりません。この記事は、国内の中古住宅を通常の売買で取得する個人オーナー向けです。相続・贈与、特殊な用途は別途確認します。
47年は建物の寿命でもローン期間でもない
住宅用のRC造・SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の法定耐用年数は47年です。木造住宅なら22年など、構造と用途で異なります。国税庁の耐用年数表
これは税務上の費用配分の年数です。「築47年で建物価値がゼロ」「あと何年住める」「何年ローンが組める」とは同じ意味ではありません。耐震性や修繕の判断は、検査・管理資料など別の根拠が必要です。
中古資産の簡便法を計算する
中古資産は、取得後の使用可能期間を合理的に見積もる方法があり、見積りが難しいときは簡便法で計算できる場合があります。所得税の具体例は国税庁 No.2108 Q&Aにも示されています。
- 法定耐用年数の一部を経過:法定耐用年数 − 経過年数 + 経過年数 × 20%
- 法定耐用年数の全部を経過:法定耐用年数 × 20%
最後に1年未満の端数を切り捨て、2年未満なら2年とします。以下は経過年数がちょうど整数年で、簡便法を適用できるRC造住宅の例です。
図は左右にスクロールできます
| 取得時の経過年数 | 計算 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 20年 | 47−20+20×20% | 31年 |
| 30年 | 47−30+30×20% | 23年 |
| 47年以上 | 47×20%=9.4 | 9年 |
築20年なら「47−20=27年」で終わらず、4年を加えて31年になります。
見積法・簡便法は自動適用ではありません。原則として、初めて業務に使った年分の期限内申告で選択する必要があります。法定耐用年数で申告した後に、後年になって簡便法へ変えることはできないとされた所得税の裁判例(国税庁公表資料30〜31頁)もあります。最初の申告前に、適用条件と選択する年数を確認してください。
実際の建築日と取得日の間に月の端数があるときは、経過年数を先に整数年へ切り捨てないでください。国税庁の所得税の例でも月単位で計算し、年未満の切捨ては最後に行っています。建築年月と取得日を確認して計算します。
耐用年数が決まったら、償却率と月数を確認
定額法は「取得価額÷年数」と概算することがありますが、申告の計算は所定の償却率を使います。31年の率は0.033です。
建物の取得価額1,500万円、耐用年数31年、全て賃貸用なら、1年間の償却費は1,500万円×0.033=49万5,000円。年の途中の7月から業務に使用した例で6か月分なら、49万5,000円×6÷12=24万7,500円です。取得と業務使用の開始がずれる場合は、契約日だけで月数を決めないでください。
根拠:国税庁 償却率等表、No.2106の月割り計算。償却終了時の1円の処理は別途必要です。
大きな改修や自宅からの転用は別確認
「中古だからこの式を使えばよい」とは限りません。取得後に業務へ使うため、その資産の取得価額の50%を超える資本的支出を行った場合は、簡便法を使えません。所得税の説明である国税庁 No.2108でも、この制限が示されています。工事の内容と適用する耐用年数を、見積書・請求書を使って税理士に確認してください。
自宅として使った後に貸す場合は、非業務用期間の減価の額を差し引く処理も加わります。単に転用時の築年数を上の式へ入れるものではありません。No.2108 Q&Aでは、中古購入から転用までの私用期間を、取得時までの経過年数へ加えない例が示されています。
また、設備の交換時期が建物と違えば、設備まで建築年から一括して年数を計算するのは適切とは限りません。設備の取得・交換記録も確認します。
日付と根拠を商談資料に残す
確認したいのは、登記事項証明書等の構造・建築年月、売買契約書の取得時期、賃貸開始等の業務使用時期、工事明細です。資料には「耐用年数31年」と結論だけを書くのではなく、法定47年・経過20年・簡便法・率0.033のように計算前提を残してください。
短い年数は、同じ取得価額でも初期の償却費を大きくする一方、早く償却が終わります。「償却終了後の税金と手残りはどう変わるか」まで収支表で比較することが、購入後の資金計画につながります。
よくある質問
築20年のRCマンションは27年で償却しますか?
経過年数がちょうど20年で簡便法を使える場合は、47-20+20×20%=31年です。単純な残り27年ではありません。
耐用年数が終わったら建物は使えませんか?
税務上の費用配分の期間と、実際の安全性・使用可能性は別です。管理状態や点検、修繕の資料で判断します。