先に結論:同じ条件で査定を取り、数字の種類を分ける

必要書類を一度まとめ、同じ条件で複数社へ伝えると、査定依頼と比較の手間を減らせます。 物件情報、売却希望時期、入居条件を共通にし、各社の査定額・売り出し提案額・成約見込み・買取提示額を一つの表へ記録します。

査定比較でそろえる3点
  1. 物件と賃貸の資料面積・築年だけでなく、現在賃料、入居状況、管理費、修繕積立金を同じ内容で渡す。
  2. 数字の意味仲介査定、売り出し提案、買取価格を分け、成約事例と算定理由を聞く。
  3. 売却後の手残り一括返済額、売却費用、税金等を別に置き、最終的に残る金額で比較する。

資料一覧と比較表を先に作り、各社の回答を同じ列へ転記します。

査定依頼前にそろえる資料

最初の概算査定では、すべての書類を求められるとは限りません。ただし、投資用物件は賃料や契約条件が価格判断に関係するため、情報が不足すると会社ごとの前提がずれます。

分類先に確認する情報・資料比較に使う理由
物件所在地、部屋番号、専有面積、築年、間取り、登記事項同じ住戸を特定し、面積や権利関係の食い違いを防ぐ
賃貸賃貸借契約書、現在賃料、入居開始日、更新条件、滞納の有無賃貸中の収益と引継ぎ条件を確認する
管理管理委託契約、送金明細、管理費・修繕積立金、修繕・設備履歴毎月の費用と将来負担を査定前提に反映する
ローン残高、売却予定日の一括返済額、手数料、抵当権抹消の条件査定額から差し引く返済額と手続日程を確認する
購入・税務売買契約書、購入時費用、確定申告資料取得費や譲渡所得の確認材料を残す

登記事項証明書や契約書が手元になくても、まず不足資料の名称と取得先を確認します。概算のために不要なマイナンバー、口座番号全桁、本人確認書類の画像を一度に送らないでください。

査定依頼から回答までの手順

  1. 目的を決める:相場確認、数年以内の売却、期限のある売却のどれかを伝える。
  2. 同じ情報で依頼する:賃料、空室、費用、売却希望時期を会社ごとに変えない。
  3. 連絡条件を指定する:希望する連絡手段と時間帯、連絡してよい電話番号を確認する。
  4. 査定の種類を確認する:机上査定、訪問確認、仲介査定、買取提示のどれかを書面に残す。
  5. 根拠資料を受け取る:比較した成約事例、収益還元の前提、想定買主、販売期間を確認する。
  6. 手残り表へ転記する:費用と残債を入れ、査定額をそのまま利益と扱わない。

国土交通省の不動産情報ライブラリでは、取引価格・成約価格などの情報を確認できます。公開情報だけで個別住戸の価格を確定することはできませんが、査定会社が示した事例の地域、面積、築年、取引時期が離れすぎていないかを見る材料になります。

電話では何を確認される?

査定サービスや不動産会社からの電話では、本人・所有関係、物件情報の不足、入居状況、売却意向、希望時期などを確認される場合があります。サービスによっては、ウェブ申込の後に本人確認と査定内容の説明を別の電話で行います。

電話を受ける前に、次の点を申込画面やプライバシーポリシーで確認します。

  • どの会社から連絡が来るか
  • 電話の目的が本人確認、査定説明、営業案内のどれか
  • 連絡回数や希望時間帯を指定できるか
  • 断った後の連絡停止方法
  • 入力情報がどの会社へ提供されるか

電話確認があること自体は、査定の正確さや会社の中立性を保証しません。口頭で追加した賃料、費用、売却時期は、査定書にも反映されているか確認します。

複数社の査定額を比べる方法

まず「仲介査定」と「買取提示」を分けると、価格差の理由を整理できます。

比較するポイント仲介査定買取提示
数字の意味買主を探して売却するための査定額会社自身が買う場合の提示額
価格と一緒に見るもの根拠にした成約事例、販売方法、想定期間買取条件、契約条件、有効期限
家賃・空室の前提現在の賃料・入居状況が査定に反映されているか同じ賃料・入居状況を前提にした提示か
売却時期想定する販売期間、値下げの条件提示条件に含まれる契約・売却の時期
手残りの比較売却価格から残債・売却費用・税金等を引く買取価格から残債・売却費用・税金等を引く

査定書を受け取ったら、算定日・有効期限・金額の根拠・費用・解除条件を並べて確認します。

仲介査定は、媒介契約後にその価格で成約する保証ではありません。買取提示は会社自身が買主になる条件と結びつくため、仲介査定と同じ種類の数字として順位をつけないでください。

媒介契約を検討する段階では、標準媒介契約約款を比較材料にし、契約の種類、期間、指定流通機構への登録、報告方法、報酬、途中解約の条件を確認します。標準約款との相違点を、締結予定の契約書で確認します。

査定額を売却後の手残りへ置き換える

売却価格から、手元に残るお金まで
  1. 1. 売却価格買主との契約で決まる金額
  2. 2. ローン残債を差し引く売却時点の完済必要額
  3. 3. 売却費用を差し引く仲介・登記・繰上返済など
  4. 4. 譲渡税を差し引く課税所得・保有期間などで確認
  5. 5. 最終的な手残り売却価格だけで比較しない

金額の大小を表すグラフではなく、手残りを求める順序の図です。税金の支払時期と決済時の入出金は分けて確認します。

売却後の現金手残り(確認用)成約価格 − ローン一括返済額 − 売却費用 − 税金等

査定段階では成約価格も税額も確定していません。査定額の1本だけで計算せず、根拠のある低め・基準・高めの価格を置き、各ケースで手残りを比べます。

  • ローン残高ではなく、売却予定日の一括返済額と手数料を金融機関に確認する
  • 仲介手数料、印紙税、登記関係費用、管理契約の解約費用などを項目別に確認する
  • 現金の手残りと税務上の譲渡所得を分ける
  • 手残りが不足するケースでは、売買契約前に資金調達と担保抹消の条件を確認する

具体的な出口比較は、投資用マンション出口比較シミュレーターで今・5年後・10年後に分けて確認できます。

資料共有と個人情報で気をつけること

査定に必要な範囲と、媒介・売買契約の段階で必要な範囲は同じではありません。提出前に送付先、利用目的、保存期間、第三者提供先を確認し、初期査定に不要な情報はマスキングします。

  • 本人確認書類は提出時期と送信方法を確認する
  • マイナンバーが載る税務資料は必要箇所以外を隠す
  • ローンや送金明細は口座番号など不要部分を隠す
  • 賃貸借契約書は入居者の個人情報を必要以上に共有しない
  • 査定を見送る場合の連絡停止・データ削除窓口を確認する

よくある質問

何社へ査定を頼めばよいですか?

社数だけで決めず、同じ前提で根拠と条件を比較できることが大切です。仲介査定と買取提示を含める場合は、数字の種類を分けて記録します。

住所だけで出る査定額は使えますか?

相場の入口にはなりますが、賃料、入居状況、管理費・修繕積立金、住戸条件が反映されているか分かりません。売却判断には前提と根拠を確認してください。

査定後すぐに媒介契約を結んでもよいですか?

契約期間、報酬、販売方法、報告頻度、解除条件を確認してから判断します。査定説明と契約締結を同じ電話だけで完結させず、書面を読み比べてください。


Smart Selectの判定:同じ物件資料と売却希望条件で査定を依頼し、電話で補った内容も書面へ反映させる。査定額・売り出し提案・買取提示を分け、残債と費用を差し引いた手残りで比較する。

次にすること

査定の幅を、売却後の手残りへ置き換える

査定会社の回答をそろえた後、売却価格の幅、残債、費用と保有中収支を自分の数字で比較します。

保有中・売却を考えている方優先

今売る手残りと、保有を続ける場合を比べる

売却価格の幅、残債、家賃・費用を入力し、今・5年後・10年後を比較します。

売る・持つを比較する

登録不要で試算できます。グラフは税引前総手残りの比較です。将来の売却価格・家賃等は入力した仮定に基づきます。